砂漠の逆行 (Suna no Gyakkou – Sự Đảo Ngược Của Cát)
HỒI 1 – PHẦN 1 テントを叩く音。 それは風ではない。 乾いた、硬い砂粒の音だ。 私は、タナカ・ケンジ。物理学者だ。 今、私はサハラ砂漠の真ん中、リビア国境に近い「死の砂漠」と呼ばれる場所で、息を潜めている。 外は灼熱地獄のはずだ。 だが、このテントの中は、奇妙な静けさと冷気に満ちている。 私の手の中には、古い真鍮製の羅針盤がある。 アリス・ソーンが、彼の曾祖父の遺品だと言って持ってきたものだ。 私は、この羅針盤をもう一時間も見つめている。 針が、北を指していない。 いや、そもそも「どこか」を指していない。 針は、まるで重い油の中を泳ぐように、ゆっくりと、しかし確実に、 反時計回りに、回っている。 カチリ、カチリ、と微かな音を立てて。…