(XONG 6)海鳴りの届く場所 (Nơi tiếng sóng vỗ về)
HỒI 1 – PHẦN 1 波の音だけが、静かに響いている。 一定のリズム。寄せては、返す。 遠くで、海鳥の声が聞こえる。 海辺の小さな町。 工房「海鳴り(うみなり)」。 ここは、雪(ゆき)の仕事場であり、住まいだ。 雪は、ろくろの前に座っていた。 朝の、冷たく澄んだ空気。 土の匂いが、工房に満ちている。 ひんやりとした粘土が、彼女の手の中で、ゆっくりと形を変えていく。 その手つきは、滑らかだ。 長年の経験が、指先に宿っている。 だが、その横顔には、深い疲れが刻まれていた。 目の下には、消えない隈がある。 今日は、夫の命日だった。…