冷めた食卓 (Bàn ăn nguội lạnh)
HỒI 1 – PHẦN 1 私の指先で、冷たい粘土が形を変えていく。 ろくろが回る音だけが、静かな工房に響いている。 私はAoi、三十二歳。 かつては陶芸家を夢見ていたが、今は主婦として、夫のKentoを支えている。 壁の時計が午後六時を指した。 私は手を止め、粘土のついた手を洗いに行く。 エプロンを締め直し、キッチンに立つ。 今日の夕食は、Kentoの一番好きなもの。 心躍る時間だ。 だしの良い香りが、部屋に満ちていく。 じゃがいもが柔らかく煮える音。 牛肉の旨味が、醤油とみりんに溶け込んでいく。 「肉じゃが」。 彼が「Aoiの肉じゃがは世界一だ」と笑ってくれる、その顔を思い浮かべる。 結婚して五年。…